4月も半ばとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
家の近くの桜も完全に葉桜になりました。今年の桜は散るのが早かったですね。
(そんなに忙しかったわけでもないのに、3月のご連絡ができませんでした。)

3月27日に久しぶりに奈良県文化会館で行われた雪心会書作展に出向きました。

コロナ禍となり、昨年の雪心会書作展は中止となりましたので、昨年提出した作品を、今回の展示で見ることになりました。
たくさんの先生方の作品をみて、線の表情に工夫がなされていることを強く感じました。

縦線を引くにしても、木の枝のような線もあれば、飛行機雲のような勢いのある線、水路のような湿り気のある線など、
単調になりがちな一点一画を見事に書き分けられておられました。

振り返って、私自身の線をみると、特に長めの縦線などは、やせ細った枯れ枝のようになってしまって、勢いや表情が希薄であることを痛感するのでした。

今回痛烈に自分の作品の改善点を思い知るようになったのはなぜか

書き上げた時期から一年以上経っていて客観視できたからです。いつもは、ぎりぎりに書き上げてそれを1~2か月後に見るのですが、
そうすると、どこをどう改善すればよいのか、落ち着いて考えるまでにならず、そのままになってしまいます。

先生方のからのご批評が、純度の高い抽象的な内容であると、頭ではわかっていてもからだの底から納得できないことも多々ありました。
そう感じてしまったのは、作品と向き合うために、寝かせる時間が足りなかったからです。

作品を、《客観的に見られる》距離をとるための時間を持つ。
そうすれば、冷静に自分の作品を見直することができるようになりますね。

今回の「雪心会書作展」は、雪心会会長の中村伸夫先生が筑波大学を退官された記念の作品展も催されていました。
先生の作品は、ここ数年で制作された作品から、20年ほど前に制作されたものまであり、
先生の現時点の集大成を拝見するような充実した展示でした。

先生のお言葉で印象的だったのは、「作品を書いていて≪しまった!失敗した!≫というところは、いつまでもありありと情景とともに覚えています」ということでした。
先生のお人柄とともに、このお一言で、作品への見方が変わり、とても和やかな気持ちになりました。

改めて、≪作品は生き物なんだな≫と感じました。
出来上がった作品は、動かしようのないものですが、

作品が仕上がるまでの作者の心のありようは、いつまでも消えることなくとどまるのだということを実感したのでした。

雪心会書作展の様子が動画で見られます。
>>> http://www.sessin.net/movie.html
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★書会のご案内
【三重県・桑名市】
・2021年4月10日(土曜日)
『第19回 MuGicafe書会』(三重県桑名市京町42)
時間:14時30分~16時30分
参加費:2,500円(書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き)

【名古屋】
・2021年4月18日(日曜日)
『第42回 Pub Arco 書会』(名古屋市西区名駅2-20-30)
第一部:13時30分~15時30分
第二部:16時~18時
参加費:2,500円(書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き)
>>>https://www.facebook.com/PubArco/posts/3352383241462632

※コロナウイルス感染予防の観点から、急遽中止になることがございます。
その際は、ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

★伊藤雲峰公式ホームページをご覧ください(^.^)/~~~
>>> https://itouunpo.com/
※日々更新中!
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書道作品の振り返りについて考えたあと、この考え方は、いろんなことにも通用する話だなと思いました。

「時間薬」という言葉があります。
人さまとの関係がぎくしゃくしたときに、今はそっとしておいて、新たな状況(良い方向)に変化していくことを願いながら使う言葉です。

ウイスキーやワインなどは、時間をかけて熟成したものが、深みのある味わいを得られるとのことです。
自分自身の振り返りも、すぐに振り返るとわからないことも、少し時間をおいて冷静になってみると、
≪他人の目線≫で深く省みることができそうです。

すぐに反省を促されると、素直になれませんが、時間のたったことなら直せそうです。
それでは、よい週末をお迎えください。

伊藤雲峰でした。