寒中お見舞い申し上げます
年が明け、早いもので1月も後半となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。 
お正月気分が抜け、私の周りでも活動が活発化してきたように感じます。
今号では、最近の活動や、ふと感じた日々の発見について綴ってみたいと思います。

★日常を「ぎゅっ」と眺めて切り取る

最近、俳句を通じてちょっとした習慣がついてきました。
かっこいい句を作ろうと意気込むのではなく、日常生活の中で心が動いた瞬間を「ぎゅっと眺めて切り取る」というものです。
たとえば先日、書道教室の前で「白菜の天日干し」を見て一句詠んだり、中華料理店で「もやし」を鮮やかに投げ込む姿に感動して句を作ったりしました。
日頃感じていることを瞬間的に切り取る。
その積み重ねこそが、人の心を動かす表現につながるのではないか、そんなことを思う今日この頃です。

★書と環境、そして荒削りの勇気

先日、東京で二尺×八尺(約60cm×240cm)の大作を見ていただきました。
多少荒っぽくても「一歩飛び出す」姿勢を貫こうと思っています。
師や仲間の目を通すと、自分ひとりでは気づけない発見があります。
東京という場所に身を置くことで、私自身の表現の幅も少しずつ広がっているように感じます。

★自分の書く名前を愛でるために

東京での仕事を通じて、多くの「生の声」に触れることができました。
ある編集者の方とのお話です。

私が、「書道をやっている方なら字が上手いでしょう」というやりとりから、ご自身が書かれる字についての相談を受けました。
その方は「自分の名前が綺麗に書けないのは、トメやハネがしっかりできていないからだ」と思い、そこを猛烈に意識して書いてみたそうです。
ところが、意識すればするほど指先に力が入り、結果として「ガチガチの、なんだかおかしな字」になってしまった……と。

一生懸命に向き合うほど、迷路に入ってしまう。
私からは二つのお話をさせていただきました。

一つは、自分のハードルを少し下げてリラックスすること。
自分の名前は、一生で最も多く目にし、書く文字です。
見慣れている分、どうしても厳しく見てしまいがちですが、まずは今の自分の字を「これも自分らしさだ」と受け入れ、肩の力を抜くことが上達の第一歩です。
もう一つは、身近な人で、良いなと思う字を探して真似てみることです。
お手本は、必ずしも書道家の書くものである必要はありません。
「あ、この人の字、素敵だな」と思う知人の字を真似てみる。
そうすると、そのご本人に「どうやって書いてるの?」とコツを聞くことができます。
ちょっとした工夫を直接聞き出せる、そんな身近な手本こそが、実は一番の上達への近道だったりします。

書も仕事も、力の入れどころと抜きどころ、その「程よい加減」を見つけることが大事かもしれませんね。

【お知らせ】第1回二希会書展に出品します

長年取り組んでいる木簡調の作品を出品いたします。
銀座へのお出かけのついでに、ぜひご高覧くださいませ。

  • 会期: 2026年3月3日(火)〜 3月8日(日)
  • 時間: 11:00 〜 19:00(最終日は17:00まで)
  • 場所: 東京銀座 鳩居堂画廊 4階
     (住所: 東京都中央区銀座5丁目7-4)
  • 在廊予定: 3月7日(土)・8日(日)
    ※会場の都合上、事前にご連絡いただければ会場にてご挨拶させていただきます。

【今後の書会スケジュール】

★詳細・お申し込み:https://itouunpo.com/shokai/

【名古屋】第97回 大島屋書会
日時: 2026年2月22日(日)※今月は第4週です
会場: 大島屋(名古屋市西区名駅2-20-30)
時間: 第一部 13:30〜【満席】 / 第二部 16:00〜18:00【あと2席】
参加費: 2,500円(ドリンク付・道具不要)

【三重・桑名】第75回 MuGicafe書会
日時: 2026年2月14日(土)13:30〜15:30
会場: MuGicafe(三重県桑名市京町42)
参加費: 2,500円(ドリンク付・道具不要)

【オンライン・特別講座】
1月31日(土)10:00〜12:00 『第55回 オンライン書会』(Zoom) 参加費:2,500円
1月31日(土)14:00〜16:00 『第14回 藤丸書院』(リアル+Zoom) 参加費:3,000円
詳細:https://itouunpo.com/info-kyojyo

★終わりに

昨日1月24日は、名古屋の大島屋さんへ。
山本哲也さんと小松崎健さんのユニットTHE WHEEL ”Winter Tour2026"を楽しみました。

奏者の山本さんとは以前から親しくさせていただいていますが、終演後に語り合う中で、音楽と書の意外な共通点に気づかされました。
それは、曲の「終わり方」の美学です。
山本さんのギターの、曲の終わり方はアーティスティックスイミングの終わり方のような、鮮やかで迷いのないものです。
振り返って自分の書作品を見ると、最後の行の終わらせ方が中途半端になってしまうことが多く、今の私の課題でもあります。

山本さんの軽妙な語りにも癒やされ、出張続きの緊張がようやくリラックスできたひととき。
表現者との対話は、やはり何物にも代えがたいエネルギーを与えてくれます。
今年もこうした生きた出会いを大切にしていきたいと思います。

それでは、素敵な休日の午後をお過ごしください。
伊藤雲峰でした。