六月となりました。お元気でいらっしゃいますでしょうか。

四月からの二か月間が年度の助走期間だとすると、六月はスピードを上げる切り替えの時期になりそうです。
四月五月と、クライアント様へ伺う出張の機会が多く、書に向き合う時間が少なめでしたので、昨日は思い切り書きました!

今日は、知り合いの建築家の方に来ていただいて、我が家に大きな書額を取り付けてもらいました。
額は、別の知り合いの方に譲ってもらったものです。
その額に私の作品を貼り付け、その額を部屋の壁に設置するというものです。

建築家の方とは、Mさんを通じて、書会に顔を出してくださったご縁で知り合いました。
事前に、我が家の壁の状態、額がどんなものかを確認され、どう設置するのが一番よいのかを検討されていました。

額は重いものですし、壁に額を立てかけるようなフックはないので、なにか既成品を持ってきて短時間で設置できる代物ではないようです。

いただいた額は、そもそも展覧会用のもので、せいぜい一週間ほど展示するぐらいものなのでしょうが、
我が家にずっと展示することになるので、脆弱なつくりの額の蓋を補強するところから始まりました。

そして、額はかなり背の高いものなので、天井との間はごくわずかです。
また、床に置くのでなく、床より少し上に設置することになります。

壁に対して、作品を掲示する上と下の隙間を、強い土台で受け止める準備も必要とのことで、
あらかじめリサーチされた寸法をもとに、今日その土台を下ごしらえして持ってこられました。

額への補強、壁への補強、壁と額を接合するための下準備、いずれもが大切な仕込み。
それらを時間をかけて丁寧に作業されている姿は、なかなか見ていてすがすがしいものがありました。

建築家の方は、これらの作業をするために、壁や床を傷つけないようにシートやマットを設置されていました。
そして、作業をしやすいように、事前に加工する場所、道具の置き場所などをきちんと決めて、自分が作業をしやすい状況を作っておられました。

事前の準備、自分の作業のしやすい環境づくり、最終的にどうしたいのかのイメージづくり。
これらは、どのお仕事にも共通することばかりですよね。

ふと自分の書の制作時に、どこまでしっかりと事前の準備ができているのかなと胸に手を当てると、大雑把で詰めの甘いものだなと思い至りました。
こういうことからも、書制作の振り返りができるんだな、と思いました。

部屋の中は、カンナで削った木の香りが漂っています。

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★書会のお知らせ★
下記の書会は、下記ページでも紹介しています。
>>>https://itouunpo.com/syokai/

【名古屋】
・2024年6月30日(日曜日)
『第79回 大島屋(Pub Arco) 書会』(名古屋市西区名駅2-20-30)
第一部:13時00分~15時【満席】
第二部:16時~18時
参加費:2,500円(当日会場にてお支払いください。)
※書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き。
>>>https://www.facebook.com/PubArco/posts/3352383241462632

【三重県・桑名市】
・2024年6月9日(土曜日)
『第58回 MuGicafe書会』(三重県桑名市京町42)
時間:13時30分~15時30分 
参加費:2,500円(当日会場にてお支払いください。)
※書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き。

・2024年6月29日(土曜) 
『第35回 オンライン書会』(Zoom)
時間:10時~12時 ※今回も午前中です。
参加費:2,500円(ゆうちょ銀行振込、PayPay)
※筆と墨、半紙や八つ切りもしくは、紙と万年筆やペン、鉛筆など、まずはお手持ちのものでご参加ください。

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★終わりに★
昨日、歯のメンテナンスのために、先週から行き始めた歯医者さんに行きました。

一年前に行っていた歯医者さんには、お盆休み中に奥歯が痛くなった時に助けてもらったところなので、感謝しています。
でも、家から遠いのと、待たされる時間が異様に長いのとで、行くところを変えました。

私は、≪今まで行っていたところからどこかに変更する≫というのはあまり得意ではないのですが、時間が取られてしまうのはちょっときついので、変更した次第です。

思えば私は、行く先々の習い事、人とのつながり、仕事先などを変えずにつながり続けようとする考え方が染みついているようです。

書をやめようと思ったことがない。
俳句も韓国語もやめようと思ったことがない。
続けようという思いより、やめようと思わないという気持ちでいるからか、肩ひじ張らずに続けられるのかもしれません。

まあ、一か所に居続けることがいいことだとは思いませんが、積み上げたことを踏み台にして新たなことにチャレンジできるとわかったから、そうしているのかもしれません。

たとえば、俳句をやるようになって、文章を書くスピードが速くなりました。
文章は、頭の中で何を言いたいかを整理したあとでないと、書き進められないのですが、
俳句をやってみると、どうすれば自分が伝えたい世界を伝えられるのかをじっくり考えて一語一語を吟味します。
また、観察してみつけた繊細な発見を言葉にしようと努力します。
そういったことの積み重ねで「文章を書くスピード」というギフトを受け取ったように思います。

もう一つ、俳句をやってよかったのは、話の受け答えが早くなったことです。
その理由は、物・事・人を観察することに興味を持てるようになったからです。
外回りでお客様とお話をする機会が多い私には、卓球のラリーのような会話ができるのは、とてもありがたいギフトです。

昔行っていた歯医者さんにも、行き続けるとわかる良さがあるかもしれませんね。
(ちょっと時間を取られるのが、私には負担でした・・・)

ふと気づいた自分の心の癖について、考えてみました。
明日から、いつもいる仕事場に戻り、新たな発見をしたいと思います。

それでは、素敵な休日の夜をお過ごしください。
伊藤雲峰でした。