9月最後の日曜日です。
いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

台風10号のなか、8月29日に東京出張し、新幹線運休の影響で9月2日の朝まで足止めされました。
(関東地区に台風の影響が出る前に、日帰りでそそくさと帰る予定にしていましたが、タイミング悪く帰宅しそびれてしまいました。)

そうなったらそうなったで、やれることをやってみようという気持ちに変わり、週末には読売書法展の揮毫会に出向き、中村伸夫先生の作品制作の場に立ち会えました。
また、明治神宮の森を歩き、初めて参拝することができました。
鶯谷の書道博物館に足を運び、甲骨文字をゆっくり見学できました。

台風の足止めが、忙しさにかまけて出来なかったことをさせてくれたので、想定外のご褒美をもらったようでした。

9月6日~8日は、会社の社員旅行に出向きました。
レオマワールド、道後温泉、しまなみ海道、尾道、宮島、広島市内(原爆ドームなど)を巡り、盛沢山の旅をしました。

なかでもしまなみ海道をめぐるバスの旅が忘れがたいものでした。
途中、生口島の瀬戸田というところにある平山郁夫美術館がすばらしかったです。

幼少期の絵日記は、絵だけでなく文章もしっかりしたものでした。
学生の頃に被爆をされ、体調不良の時期を乗り越え、美大に進学。
郁夫さんの大伯父にあたる清水南山氏(東京美術学校の教授)からの勧めもあり、画家への道に進みます。
南山氏から画家の教養として、古典・文学・哲学などの書物を勧められたといいます。
館内には、郁夫さんの読書ノートがあり、膨大な本を読破されていたことがわかりました。

郁夫氏の弟にあたる館長さんは「自分の考えを押し通すばかりでなく、その時その相手に合わせて対応することを郁夫氏は心がけていた」とおっしゃっていたことが印象に残っています。
教養を身につけるということは、コミュニケーションを円滑にするための道具を手に入れることなのだと感じ入りました。

社員旅行の後は、日展作品締め切りまでの3日間でしたが、作品制作に集中しました。
7月、8月と制作しつづけてきたイメージを寝かせて、最後の書き込みの時期になりました。
たくさん書けば書くほど、自分の弱さを修正する方に気が回りすぎるし、書き込まないと磨きがかからないし・・・とジレンマと闘いながら作品を仕上げました。

暑さ際立つ9月は、いろんなことに追われたひと月でした。

★書会のお知らせ★
下記の書会は、下記ページでも紹介しています。
>>>https://itouunpo.com/syokai/

【名古屋】
・2024年10月20日(日曜日)
『第82回 大島屋(Pub Arco) 書会』(名古屋市西区名駅2-20-30)
第一部:13時30分~15時30分
第二部:16時~18時
参加費:2,500円(当日会場にてお支払いください。)
※書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き。
>>>https://www.facebook.com/PubArco/posts/3352383241462632

【三重県・桑名市】
・2024年10月19日(土曜日)※2週目でなく3週目です。
『第61回 MuGicafe書会』(三重県桑名市京町42)
時間:13時30分~15時30分 
参加費:2,500円(当日会場にてお支払いください。)
※書道道具の準備は不要です。ソフトドリンク付き。

・2024年10月 未定 
『第39回 オンライン書会』(Zoom)
時間:未定 
参加費:2,500円(ゆうちょ銀行振込、PayPay)
※筆と墨、半紙や八つ切りもしくは、紙と万年筆やペン、鉛筆など、まずはお手持ちのものでご参加ください。

★おわりに★
8月末までには、雲峰カレンダーの制作も行っておりました。
こちらは、デザイナーのNさんが柔軟にそしてスピーディーに対応してくださったので、ほぼ予定通りの日程でデータ納品することができました。

カレンダーは、事実を載せた部分と、雲峰の作品を載せた部分、雲峰の文章を載せた部分の3種類があります。
つい、雲峰の作品や文章のほうに力を入れ過ぎてしまうのですが、事実の部分となるカレンダーの内容に誤りが無いように、なんどもチェックしました。
チェックをすればするほど、余計に心配のループに入ってしまうので、校正紙をすべて手元に置いておいて、今までにしたチェックを目にして自分の心配する気持ちを抑えています。
もうすぐ、韓国から印刷物が届く予定です。

★2025年伊藤雲峰カレンダー「命」のご案内
https://itouunpo.com/shop/

* * * *
先週は讀賣書法展の中部展がありましたので、自分の作品や書友の作品を見てまいりました。
書作品を見ていると、なんだかよくわかりませんが、気持ちが落ち着きます。

私は篆書と隷書の混ざった木簡に書かれた書を基調にした作風ですが、楷書、行書、草書の作品にもひかれるものがたくさんありました。
作品として見ごたえがあると思わせるのは、その作品の見せ場が多くあるかどうかにかかわっているのではないかと再認識しました。

私の作品で追求したのは、
・文字の面白さ
・文字間・行間の関係性
・余白の響き
です。

展覧会場に行くと自分の作品がいかに一本調子の線質であるか、まざまざとわかりました。
(遠くから見るとほんとうによくわかります)
木簡の書は、一本調子になりやすいのですが、終筆の納め方に気を付けたいと思いました。

この作品の制作中に、先生からは≪墨の力を借りる≫ことを教わりました。
墨のにじみを効かせられることも実力のうちですよ、と言われたことをよく覚えています。
これは、俳句の季語とよく似ている作用だなと思いました。
(俳句も「季語の力を借りることだ」と言われます)

今回、ありがたい賞を頂戴しましたが、私にとりましては一里塚です。
自分の持ち味が発揮できるような作品をこれからも作れるように精進してまいりたいと思います。

それでは、日曜日の夜となりましたが、ゆっくりとお過ごしくださいませ。
伊藤雲峰でした。