だんだん朝夕は肌寒くなってまいりました。
いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。

コロナ禍の日常にあって、自分を奮い立たせる言葉や習慣を見つけられていることと思います。
私は「何事も反復することが大事だ」という言葉を大事にしています。

≪前にそのことを言ったから、もうそのことは言わなくてもいい≫というわけにはいきませんよね。
何事においても、習得することはそんなに簡単ではないと思うのです。
(一部の方はあてはまらないかもしれませんが・・・)

たとえば、篆書の横画は水平にし、筆の入り口はとんがらないように穂先を隠した楕円形になるようにしましょう、
ということは、繰り返しお伝えしています。

他には、白川文字学をベースにして漢字の成り立ちを説明している私にとっては、
「口」という字は、体の一部をあらわす「くち」ではなく、≪さい≫と呼ばれる神様への祈りの文(ふみ)を入れる器を表している、ということは何度も話しています。

一度言ったから覚えているだろうと思えてしまうのは、往々にして自分の中にその知識が定着している人だからなのだと思うのです。
身についていない人、その分野に親しんで日が浅い人からすると、「そんなにすぐに理解できないよ!」ということになるのでしょう。

皆さんに伝える立場の私としては、≪専門家ではないけれど、少し先に勉強している人≫ぐらいのほうが、
分かりづらいところや重要なところを、繰り返し伝えるようにするので、学びの場においてはよいのかも…なんて思います。

専門家の方には、到底近づけるものではないですし、大いに尊敬をしておりますが、
書会をさせていただく私としては、こういう立ち位置もよいのかも・・・なんて自己弁護してしまったりします。
(勝手なことを言ってごめんなさい。)

話を戻すとして、
「一回聞いたから……」
「一回伝えたから……」
「一回文章にまとめたから……」
としておしまいにすると、その人のインプット材料は定着していかないと思うのですね。

何度でも大事だと思えることは繰り返し、相手にも自分にも言い続けることが大事なんだと強く感じています。
一回体験したからそれでおしまいというのは、もったいない向き合い方ですよね。

そんなこんなで、書会ではくどいぐらいに同じことを言うことになりますが、ご了承いただければ幸いです。
皆さんと一緒に学んでまいりたいと思っております!

【ご案内】
●2022年伊藤雲峰カレンダー「時分」のご案内
今年のタイトルの『時分』には、≪ほどよい頃合い≫という意味があります。
48歳になる私は、もうすぐ終わってしまう貴重な40代を【時分は良し】ととらえて、前向きに進みつづけたいと考えているところです。
※詳しくは下記をご覧ください。
https://itouunpo.com/shop/

●Zoomを使ってオンライン書会を開催いたします。
【日程】
・12月25日(土)20時30分~22時30分
・12月26日(日)14時~16時30分

【ご用意いただくもの】
字の書けるもの
※筆と墨、半紙や八つ切りもしくは、紙と万年筆やペン、鉛筆など、まずはお手持ちのものでご参加ください。
【参加費】
各回 2,500円
※ゆうちょ銀行振込、PayPay
詳しくは… https://itouunpo.com/2021/10/online-syokai/

★終わりに★
今週の火曜日に、妻の祖母が亡くなったため、奈良県橿原市まで葬儀に参列いたしました。
祖母は数え年で99歳とのことでした。

祖母とは、生前話をしたことはありませんでしたが、妻からどんな人なのかを聞いていました。
山の辺の道のことを語り合いたいと思ったのですが、残念ながら一度も声を聴くこともかなわず、お別れすることになりました。

しかし、葬儀はとても温かな雰囲気でした。
すぐそこに祖母がいて、私を歓迎してくれているような親しみも感じました。

聞いてみると、90歳の前半ごろまでは、自分でいろんなところに出向いて活発に人と会っていたそうです。
元SMAPの中居くんが好きだったようで、家族がお棺に彼の写真集を入れてあげていました。

納棺を終え、いざお別れとなったとき、ふと深い悲しみがやってきましたが、
涙を流しながらも、不思議と明るい気持ちになったお葬式でした。

大 和 三 山 雲 間 に 冬 日 戻 り 来 る

祖母のことを想いながら作りました。

哀しかったけれど、なんだか元気にもなれたお葬式でした。
いつまでも祖母が私の心の中にいてくれると思います。

12月も中旬となり、気ぜわしい日々かと思いますが、どうぞご自愛なさってください。

伊藤雲峰でした。